
◆新日本教育図書(株)
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英語に関する質問を何でも受け付けます。
2016/02/26
〔n〕と〔ng〕の違いに気付かせないと……
【新・英語屋通信】(66)
NHKの英語番組で‘pen’に含まれる3つの音を3人の英語話者が1つずつ発音する場面があって、とんでもない大間違いをやらかしていた。
語中音〔-e-〕は、単音のまま言える母音だから、間違えようがないが、語頭音〔p〕には妙な母音を添えて、語尾音〔n〕は〔ng〕と発音していた。ただし、3人は最後に口を揃えて正確に“pen.”と言っていた。英語話者に子音を1つだけ発音させると、たいてい不要な音を入れ込むが、子音だけでは単独に発音しにくいからで、間違っているわけではない。問題はこの番組の制作関係者が〔n〕と〔ng〕の違いを無視していることだ。
私はプライマリイ・デイ・スクールの校長からPV法を教わった。〔p〕から始めて、私が余分な母音を入れて発音したら、すぐ訂正された。校長は閉じた口を開けるだけで、ほとんど音を出さないので、私は口を形を見せているのかと思って、母音付きの〔p〕を繰り返した。すると、今度は top と言ったあと、開けた口から唇と真一文字に結んで閉じた。やはり音を出さない。私はしばらく何が示されているのか気付かなかった。
大学時代に私は中国語を選択して、最初の発音レッスンを子音の「b・p・m・f」から始めて、母音の「オ」を添えて「ポ・ボ・モ・フォ」のように発音するピンインの手法で指導された経験がある。中国語の「b・p」は「無気音・有気音」の違いで、日本人にはどちらも「パ行」音に聞こえて、母音なしで区別できないから当然の方策だが、PV法を教わる前まで私は母音付きの子音の練習法に疑問を感じていなかった。
なぜなら、フォニックスで綴りの〔p〕を教えるとき、 po・pa・pu のように母音を入れて発音したあと、単語の pat・pen・pig・pomp・puff などと教えているからだ。
vowel(母音)は voice(声)の親戚で、consonant[con(共)+son(音)+ant(接尾辞)=(vowel)と共に音を出す]を「子音」としたのは、けだし名訳と思う。
PV法は音声学を下敷きにしているので、45種の単音を徹底的にトレーニングする。英単語は<子音+母音+子音>を1音節を基準とするので、語尾子音が分離されて、次の単語にくっつくため、単音の訓練を怠ると、英語の発音は永久にモノにできない。
NHKには優秀なタレントが大勢いるのに、どことなく独善的で、自分たちの体たらくに気付いていない。日本人はお上を信じる民族だから、文句を言わずに視聴料を払っているけど、嘘を教えて知らんぷりとは本当に困った連中だ。
(S・F)
2016.2.26(金)
2015/10/27
仮名のローマ字表記を習う以前に英語の綴りを教えるべき
【新・英語屋通信】(54)
世羅洋子氏によるYESの英語教室では、小学生が「仮名の代わりにローマ字を使って書く方法」を学校で教わる以前に、英語の綴り方を書けるように指導しています。世羅氏はそのとき、両者がまったく違うものであることをしっかり伝えています。
小学2年生の男子に英語で算数を教えながら、“Three and six makes nine.”と世羅氏が言うと、生徒がすかさず“How do you say‘makes’in Japanese?”と聞き返してきました。世羅氏が make は「作る」という意味ですと教えて“Can you write it down?”と尋ねました。
生徒はすぐさま、〔m〕に続けて〔a e〕と書き、空白部に〔x〕を入れて、‘maxe’と表記しました。その子が box の〔x〕が〔ks〕の音になると知っていたからですが、最後の音が〔s〕であると指摘すると、ただちに‘makes’と書き直しました。
先に音声を入れて、そのあと書き言葉を綴る手順をとれば、こうした現象が起こる実例を知って、なるほどと驚かされました。英語話者の子供が英語の綴りを覚えるのにさいして、Phonics(フォニックス)の手法を利用する必然性を改めて実感させられました。
この2年生の子は、5年生のお兄ちゃんが英語で質問されて答える英文をすらすら書いている様子を横で見ながら、自分も早く書きたいと思って、自然に身に付けたようです。英語音を正しく発音できて、アルファベット26文字を覚えれば、PV法のチャートを見ながら、英単語を綴れるのは「当然のおまけ」でしかありません。
英語の発音と綴りは、PV法で覚えられますが、世羅さんは40年間の英語指導の経験を踏まえたうえで、とにかく話し言葉を優先させるべきと確信しています。何事であれ、学べば必ず「成熟度」をチェックする必要がありますが、英単語の綴りにあっては、PV法の反復練習がそのまま習熟度のガイドになります。
なお、makes を仮名で「メイクス」と書くので、ローマ字は me・i・ku・su としています。eight(〔-e-〕〔-i-〕〔t〕)があるから、mei の部分は似たように聞こえますが、kusu には日本語特有の母音の「ウ」が〔k〕〔s〕にくっついているので、英語話者が聞き取りにくくなります。仮名のローマ字表記は、英語の綴りとは別物です。2年生君が makes を英語のまま捉えていることは明白です。
(編集部)
2015.10.27(火)
2015/10/23
英語は45の単音を正しく発音できなければ何も始まらない
【新・英語屋通信】(53)
話し言葉ができれば、書き言葉は少しの勉強ですぐできるようになります。ところが、書き言葉にいくら習熟しても、話し言葉は容易に会得できません。話し言葉は「聞いて話す練習」を繰り返すことでしか身に付きません。
「聞き流すだけで英語を話せるようになる」と宣伝されていますが、そんな奇跡は99パーセント起こりえません。聞き流すだけで英語が身に付くのなら、いまの時代 YouTube の中に掃いて捨てるほど好材料が転がっています。
世界のどの言語音であれ、複数の子音(consonants)と母音(vowels)から成り立っています。英語には45種(子音27・母音18)の「単音」があり、その中には日本語にないサウンドがいくつかありますが、そのすべてを正しく発音できないと英単語は言えません。英語の学習者はまず、子音・母音の個々のサウンド習得を最優先すべきなのです。
英単語は dog や get などの<子音+母音+子音>(CVC)型で並ぶ1音節語が基本形です。日本語は五十音のほぼ全部が母音止めのCV型ですが、子音止めの英単語は安定性が悪く、アクセントを置いた母音のあとでリズムが途切れて、取り残された子音が次の単語の語頭音にくっつきやすく、いわゆるリンキング(連結)の現象を生じます。
たとえば、CVC|CVC|CVC|と並ぶ3音節語なら、CV|CCV|CCVCという音則を作り、そのうえ隣接する2つの子音間に強弱関係が生じて、片方がしばしば省略されたりします。したがって、英語の話し言葉は、文字と発音の等式関係が崩れるので、音則のあり方を知らないと、英語話者が口にする音声をはっきり聞き取れません。
「音声」を完全に聞き取れないと、「単語」の意味もわからず、いわんや「文型」の把握に至らず、話されているフレーズの内容の理解に及びません。基礎なくして、ただ漫然と同じことを闇雲に聞くだけでは学習時間が無駄でしょう。
発声練習では、唇・舌・歯などを使うさいの口の動きを習得する必要がありますが、その学習法として、アメリカの The Primary Day School(保育園と小学校低学年)で実施されている The Phonovisual Method(PV法 =音視法)を私どもは推奨します。
子供たちは45音のすべてを3日間〜1週間くらいで一応マスターしますが、そのあと単語を言うとき口が滑らかに動いて、文をすらすら言えるようになるまで、徹底的に基礎レッスンを繰り返す必要があります。
(編集部)
2015.10.23(金)
2015/10/15
赤ん坊は「統計処理」をしながら母語話者になる
【新・英語屋通信】(51)
「赤ちゃんの言語的天分)(The linguistic genius of babies)と題して、パトリシア・クール(Patricia Kuhl)が「第二言語の獲得」について解説した約10分間のトークがTED(Technology Entertainment Design)に収められている。
https://www.ted.com/talks/patricia_kuhl_the_linguistic_genius_of_babies
生後6〜8カ月目の赤ん坊は“citizens of the world”(世界市民)だが、10~12カ月間ころになると、早くも“the language-bound listener”(特定言語に拘束された聞き手)になるとして、彼女は次のように述べている。
They can / discriminate all the sounds / of all languages, / no matter / what country / we're / testing / and / what language / we're / using, / and / that's / remarkable / because / you and I can't / do that. / We're / culture-bound listeners.
(赤ん坊はあらゆる言語の全音声を識別できる。私たちが実験したどの国であれ、また、どの言語を用いようとも、それは驚くべきことで、大人にはそれができないからだ。私たちは「文化に縛られた聞き手」なのだ)
すなわち、赤ん坊は身辺で使われる母語の音声を耳にして「統計処理」をしながら、必要なデータだけを吸収していくが、初めての誕生日を迎えるとき、もはや言語面での世界市民ではなくなり、いわゆる母語話者に向かうと報告している。
その実例として、話者が800人しかいないインドの少数民族であるコロ語において、母親が赤ん坊に話し掛けることで生きた言語として今日に継承されている様子を紹介している。「言語は話し言葉として伝承される」ことの証明である。
そのほか、英語話者は〔r〕と〔l〕を聞き分けるようになるが、日本語話者はこの両サウンドと似て非なる「ラ行」だけを認識するようになる例を示している。
また、第二言語の獲得には「臨界期」があり、子供が言語の天才でいられるのは7歳までと言う。その年齢を過ぎると、習得能力が急カーブを描くように下降して、他言語を獲得できなくなる臨界期は、ほぼ思春期に相当すると断定している。母語のデータで満たされた成人の脳は、新たな統計処理に鈍感になるからである。
さらに、言語上の世界市民から母語話者になる過程において、両親が異なる言語を使う場合は「バイリンガル」になるが、この様子を裏付ける証拠として、英語話者の赤ちゃんに中国語を聞かせる実験をしている。つまり、言語の伝達者は必ず人でなければ効果が得られず、音声や画像からだけでは学べない(no learning)結果を図示している。理由はたぶん、赤ん坊は実際の場面に呼応してのみ言葉をわがものにしていくからであろう。
クール氏の主張を要約すると、以下のようにまとめれる。
1.赤ん坊は全世界のすべての音声を聞き分ける「世界市民」だが、それが可能な期間は、生後6~8カ月まで。
2.赤ん坊は耳に入る音声を「統計処理」しながら、最初の誕生日を迎えるころには、自らの文化に縛られた限定的な音声だけを聞き取る「母語話者」へと進んでいく。
3.第二言語を習得できる子供の天分は7歳までしかなく、脳内が母語に満たされることに反比例して、他言語の獲得が困難になる。
4.第二言語の習得が困難になる「臨界期」は思春期で、それ以降は意識的に学ばないと、自分のものにできない。
5.バイリンガルになるには、音声の統計処理ができる赤ちゃん時代に2つの言語が両立して近辺で使われていなければならない。
6.言語は人と接触することでのみ身に付く。音声や画像から学んでも成果は出せない。
クール氏による各種の実験は、思春期以降の英語の獲得がどんなに難しいかを示唆している。成人後の英語学習法は、質に優れて、量をこなせるシステムが必要で、聞き流すだけで英語を使えるようになるなどのマジックはこの世に存在しない。
とはいうものの、英語は母語話者なら誰もが使える言語だから、自習を積み上げれば、非英語話者でも段階的に話せるようになる。学ぶのは自分以外の誰でもない。(S・F)
2015.10.15(木)
2015/09/28
〔j〕と〔z〕は〔ch〕と〔s〕の濁音と見なせる
【新・英語屋通信】(47)
現代日本語のサ行では、「ヂ」が「ジ」に、「ヅ」は「ズ」に吸収されています。そして、ヘボン式ローマ字では「ジ」を‘ji’と表記し、「ズ」は‘zu’と書く様子からして、両者が異なる音質であることは明白です。
一方、英語の〔j〕は〔ch〕の有声音で、〔z〕は〔s〕の有声音だから、〔j〕と〔z〕は明確に区別されています。日本語と比較すると、大まかに次の関係が成り立ちます。
〔j〕…ジャ行音 〔ch〕…チャ行音
〔z〕…ザ行音 〔s〕 …サ行音
ちなみに、アメリカのプライマリイ・デイ・スクールで使われているPV法のキーワードは〔j〕が jar(広口の瓶・壷)で、〔z〕は zebra(シマウマ)です。jar の語頭音を〔z〕で発音すると英語話者に通じないし、zebra の語頭音を〔j〕では言いにくいと知ってください。なお、当社では〔j〕のキーワードを jigsaw(糸のこ)に定めています。
ヘボン式では「ジ」をザ行の中で扱いながら、‘zi’ではなく、‘ji’と書きますが、「地震」の語頭音は〔z〕の舌の動きと似て、「じいちゃん」の「じ」は〔j〕の舌の動きで発音します。〔z〕は東北方言のズーズー弁に多出するサウンドです。英語と日本語の音声は微妙に違っており、さまざまなケースがあるので、ヘボン式を許容してかまいませんが、英語の〔z〕と〔j〕は発音が異なると早い段階で教えておくべきでしょう。
jazz(ジャズ)や jeez(おやまあ)の語頭音は〔j〕で、語尾音が〔z〕です。〔j〕は語頭音に多く、〔z〕は語尾音に向いています。〔j〕が語尾音として出る raj(支配)はサンスクリット語由来の稀な例で、〔z〕で始まる単語も少数派です。
〔z〕と〔j〕の違いを無声音の〔s〕〔ch〕を併せて示すと、下記の関係が見えます。〔s〕は舌先を下の歯茎に当てて発音する「歯茎音」で、〔ch〕は舌の中央を中の天井と摩擦させて出す「破擦音」で、その仲間の〔sh〕は「摩擦音」の1種です。
〔s〕(無声) …「サ・ス・セ・ソ」から母音を取り除いた音声
〔z〕(有声) …「ザ・ズ・ゼ・ゾ」から母音を取り除いた音声
〔ch〕(無声) …「チ・チャ・チュ・チョ」から母音を取り除いた音声
〔j〕(有声) …「ジ・ジャ・ジュ・ジョ」から母音を取り除いた音声
〔sh〕(無声) …「シ・シャ・シュ・ショ」から母音を取り除いた音声
〔sh"〕(有声)…日本語では〔j〕と同等に扱われている。
大雑把に言えば、〔s〕〔ch〕の日本語で言う清音で、〔z〕〔j〕は濁音に相当します。また、九州方言で「先生」を「シェンシェイ」と言うときの「シェ」は、「黙って」の擬声音「シィーッ」での「シィ」ともども、英語の〔sh〕に近い音と言えます。
ちなみに、本場アメリカのPV法のキーワードの〔s〕には saw(のこぎり)を当て、〔ch〕は cherries(サクランボ)としています。しかし、子音はそれぞれ語頭・語中・語尾での発音のあり方にデリケートな差があり、すべての音声を練習する必要があるため、当社ではキーワードをあえて sun(太陽)と checker(格子縞)に替えています。
そしてまた、〔sh〕のキーワードは shovel(スコップ)とし、濁音的な〔sh"〕は語中音として、measure(巻尺)で示しています。アメリカのPV法は幼児・低学年用だから、〔sh〕を ship(大型船)で示すものの、語中音で登場しがちな〔sh"〕のキーサウンドは表に加えていません。日本人が「ジ」と「ヂ」を同じように認識しているのと同様、英語話者の〔sh"〕も生活の中で自然に覚えるサウンドだからでしょう。
2015.9.28(月)
2015/09/14
綴りの‘g’は〔j〕か〔g〕で、〔z〕ではない
【新・英語屋通信】(44)
NHK教育テレビに『サイエンスZERO』という最新の科学情報を知る手掛かりになる恰好の番組がある。当社のスタッフも1週30分間の科学授業を受けるつもりで、とても重宝に視聴させていただいている。
昨夜の番組テーマは autophagy であった。接頭辞<auto->(自らの)はさておいて、冒頭に男性ナビゲーターから「ファジーって何でしょう?」みたいな問いかけがあり、相方の女性ナビが「fuzzy なら“曖昧な”だけど……」と答えたら、男性ナビが「fuzzy と<- phagy>は発音が同じで……」というやりとりがあった。
fuzzy(毛羽立った)を派生させた fuzz(縮毛)の語尾音は〔z〕で、これを無声音の〔s〕に代えると、fussy(小うるさい)が fuss(大騒ぎ)から派生している関係が認識できる。言うまでもなく〔s〕と〔z〕は発音時の口の使い方がまったく同じになる。
<-phagy>(食べること)は接尾辞で、異形に<-phagia>があり、綴りの‘g’のアルファベット名は〔j・ee〕だから〔j〕と発音する。〔j〕は無声音〔ch〕の有声音だから、〔g〕サウンドではない。〔ch〕と〔j〕もまた口の使い方がまったく同じになる。
最近の日本語は「ズ」と「ヅ」の関係と同様、同音の「ヂ」を「ジ」で書くので、カタカナ表記の fuzzy と<-phagy>が同一になるのは致し方ないかもしれないが、できれば両者の英語音は「微妙に違っている」と言ってほしかった。
ちなみに、接尾辞<-phage>(むさぼり食うこと)は macrophage(マクロファージ=大食細胞)で知られるが、やはり綴りの‘g’は〔j〕の域を出ていない。
ところが、形容詞を作る接尾辞<-phagous>(を食べる)の‘g’は〔g〕と発音して、phagocyte(食細胞)に見る接頭辞<phago->(食べる)も同じく〔g〕で発音する。
したがって、autophagous(自食作用の)の‘g’は〔g〕で、autophagia(自食)のそれは〔j〕になる。autophagous の意味は「体内組織を自己消化して、栄養状態を維持する生体の現象」で、内容が大切なのは当然だが、発音や接頭辞・接尾辞の知識があると、単語力が労せず百倍になる。(編集部)
2015.9.14(月)
2015/07/24
“You're welcome.”をすんなり言えるように
【新・英語屋通信】(37)
“welcome”と「ウエルカム」の発音は等しくない。welcome は2音節で、ウエルカムは5音節だから、音律的に著しく違っている。
で始まる2音節語は、welfare(社会福祉事業)と welder(溶接工)くらいしか知らない。welfare は2音節目が〔f〕で始まり、そのうえ母音に第二アクセントが置かれるので、welcome と取り違えることはなかろう。welder は日常的な単語でないし、第2音節中の母音が〔r〕型だから、welcome と聞き違えることはありえない。
また、well(よく)に派生する合成語は、well-known(よく知られている)や well-done(よく火が通った)など数多くあるが、2音節目が〔k〕で始まる単語は見当たらないし、〔d〕で始める単語も少ない。要するに、welcome に似た音素・音節・音律を持つ単語がないから、ウエルカムで間に合っているしだいだが、その安易さに甘えたままだと、英語の発音の進歩が停滞して、不自由な気分から永久に免れられなくなる。
welcome は〔w〕〔-e-〕〔l〕〔k〕〔弱〕〔m〕と発音されるCVCCVC型の2音節語になる。1音節目の〔w〕で唇を前に突き出しておちょぼ口を作り、〔-e-〕で口を横に開きぎみにして舌を浮かし、〔l〕で舌先を歯茎の後ろに押しつける。2音節目は〔k〕で舌の後方を盛り上げ、唇を固く閉鎖する語尾音〔m〕の直前に口を小さく開けて弱母音を入れ込む。welcome を丁寧に発音すると、そんなに簡単ではない。
英語は母音にアクセントを置いて、その強弱でリズムを形成する言語だが、welcome では2音節目の<come>の母音〔-u-〕が弱母音「シュワー」に弱化するので、〔-e-〕を強調するのが発音のコツになる。
相手に何かを手渡すとき、“Here you are.”(これをあなたに)と言って、“Thank you.”と返されたとき、“You're welcome.”(どういたしまして)と答えるタイミングはけっこう難しい。友達と2人でこのやりとりを日常的に正しい発音で何度も練習しておけば、実戦でうまく言えたとき、気持が晴れやかになって、もっと数多くのシチュエーションを練習したくなる。(編集部)
2015.7.24(金)
2015/06/09
英語の歌を楽しむ発音のノウハウ
【新・英語屋通信】(25)
英語の歌が正しく歌えると、とても楽しくなる。歌うコツの1つは「単音の音質」を正確に発音することで、もう1つの要領は母音上の「アクセントの強弱」を間違えないことに尽きる。「音質」と「強弱」の2つを意識して歌えば、おのずと英語の「リズム」が生じて、どんな曲でも歌えるようになる。
しかし、最初から速いテンポの曲に取り組むと基礎が疎かになるので、ひとまず童謡の“Where is Thumbkins?”などで練習するのがいい。この曲の tune(節)は“Are you Sleeping?”から拝借した指遊びだから、アメリカ人なら誰でも知っている。
Where is Thumbkin? Where is Thumbkin?
Here I am, here I am, How are you today, sir?
Very well I thank you, Run away, run away.
音声1(mp3) 音声2(mp3)
使用単語は16語しかないが、単音は25種(子音15・母音10)もある。簡単に歌えそうだが、なめては事を仕損じる。基本だから、少し詳しく説明しておこう。
・where…〔wh〕は唇をすぼめて前に突き出し、〔-e-〕系のr型母音の〔ere〕では舌を口の奥に軽く巻き込む。1音節語だが、2つの音を明確に発音しなければならない。
・is…短母音〔-i-〕と摩擦音系の有声音〔z〕から成る。
・thumbkin…子音は〔th〕〔m〕〔k〕〔n〕の4音で、短母音の〔-u-〕と〔-i-〕を挟んで2音節になる。bomb(爆弾)などと同様、〔mb〕の‘b’は黙字化が起きる語形。
・here…〔h〕は肺から空気がストレートに出てくる無声音で、これに〔-i-〕系のr型母音が続くので、where よりは易しいが、安易に発音すると英語話者の耳に届かない。
・I…二重母音の〔i-e〕で、I am の言い方には慣れていても、well I での〔l〕に続く〔i-e〕では発音が甘くなりやすい。
・am…短母音〔-a-〕は日本語にはないサウンドだから、口の開け方と舌の位置の止めどころが難しい。また、鼻音の〔m〕に母音を加えて「ム」としないように。
・how…〔h〕の息を出すと同時に、日本語の「アウ」を短くした〔ow〕を続ける。
・are…r型母音を代表する長母音〔ur〕そのもので、子音の〔r〕の母音バージョンだから、舌の巻き込みをはっきり意識する必要がある。
・you…二重母音の〔u-e〕そのものだから、〔ee〕と〔oo〕の2つの長母音を併せた音になる。唇をゆっくりとすぼめていく気分で発音する。
・today…〔t〕と〔d〕は同系の閉鎖音で、両音の間に短母音〔-oo-〕を挟み、2音節目の〔ay〕は二重母音〔a-e〕の別の綴り。
・sir…無声音〔s〕は〔z〕と同系の摩擦音で、〔ir〕は〔ur〕の別の綴り。
・very…〔v〕は上歯で下唇を噛む〔f〕の有声音で、短母音〔-e-〕を添えたあと、巻舌音の〔r〕を続けて、最後はアクセントのない〔-i-〕系の弱母音になる。
・well…〔w〕は〔wh〕の有声音で、短母音〔-e-〕のあとを側音〔l〕で締める。
・thank…〔th〕〔-a-〕〔ng〕〔k〕の4音から成るが、語尾に子音が2つ続くため、後続の音が次の単語に連結されやすく、ここでは母音〔u-e〕つまり you をリンキングさせて than|k_you のようにCVC|CV(子音+母音+子音|子音+母音)で言う。
・run…語頭子音〔r〕と語尾子音〔n〕に挟まれた〔-u-〕は最も中立的な短母音。
・away…way は〔w〕と〔a-e〕の2音で、語頭の‘a’は弱母音のシュワーで添える。
この歌に出ない子音は、摩擦音〔sh〕系と破裂音〔ch〕系だが、類似音の〔s〕〔z〕で代用されている。〔qu〕は〔wh〕と共通するし、〔y〕は you の中に似た音がある。
歌詞の2番で thumbkin が pointer(人差指)に替わるので、母音〔oy〕が出てきて、3番の tall man(中指)には長母音〔aw〕がある。この歌には弱母音もあるし、where と here では〔-e-〕系と〔-i-〕系の二重母音の後半がr型母音の〔弱r〕になる。
登場しない母音は、米音特有の〔-o-〕だけだが、5番の baby(小指)を Bobby(バブさん)に替えれば、短い譜面ながら子音の閉鎖音〔p〕〔b〕も加わり、単音がほぼ勢揃いして「選択して網羅」されている。
要点は very well I thank you の1節で、〔v〕〔r〕〔w〕〔l〕〔th〕〔ng〕〔k〕の7つの子音の並びでは、口と舌を素早く移動させるトレーニングになる。正しい発音で歌えば、その技術が次のステップに結び付く。
(Bob Godin)
2015.6.9(火)
英語の歌が正しく歌えると、とても楽しくなる。歌うコツの1つは「単音の音質」を正確に発音することで、もう1つの要領は母音上の「アクセントの強弱」を間違えないことに尽きる。「音質」と「強弱」の2つを意識して歌えば、おのずと英語の「リズム」が生じて、どんな曲でも歌えるようになる。
しかし、最初から速いテンポの曲に取り組むと基礎が疎かになるので、ひとまず童謡の“Where is Thumbkins?”などで練習するのがいい。この曲の tune(節)は“Are you Sleeping?”から拝借した指遊びだから、アメリカ人なら誰でも知っている。
Where is Thumbkin? Where is Thumbkin?
Here I am, here I am, How are you today, sir?
Very well I thank you, Run away, run away.
音声1(mp3) 音声2(mp3)
使用単語は16語しかないが、単音は25種(子音15・母音10)もある。簡単に歌えそうだが、なめては事を仕損じる。基本だから、少し詳しく説明しておこう。
・where…〔wh〕は唇をすぼめて前に突き出し、〔-e-〕系のr型母音の〔ere〕では舌を口の奥に軽く巻き込む。1音節語だが、2つの音を明確に発音しなければならない。
・is…短母音〔-i-〕と摩擦音系の有声音〔z〕から成る。
・thumbkin…子音は〔th〕〔m〕〔k〕〔n〕の4音で、短母音の〔-u-〕と〔-i-〕を挟んで2音節になる。bomb(爆弾)などと同様、〔mb〕の‘b’は黙字化が起きる語形。
・here…〔h〕は肺から空気がストレートに出てくる無声音で、これに〔-i-〕系のr型母音が続くので、where よりは易しいが、安易に発音すると英語話者の耳に届かない。
・I…二重母音の〔i-e〕で、I am の言い方には慣れていても、well I での〔l〕に続く〔i-e〕では発音が甘くなりやすい。
・am…短母音〔-a-〕は日本語にはないサウンドだから、口の開け方と舌の位置の止めどころが難しい。また、鼻音の〔m〕に母音を加えて「ム」としないように。
・how…〔h〕の息を出すと同時に、日本語の「アウ」を短くした〔ow〕を続ける。
・are…r型母音を代表する長母音〔ur〕そのもので、子音の〔r〕の母音バージョンだから、舌の巻き込みをはっきり意識する必要がある。
・you…二重母音の〔u-e〕そのものだから、〔ee〕と〔oo〕の2つの長母音を併せた音になる。唇をゆっくりとすぼめていく気分で発音する。
・today…〔t〕と〔d〕は同系の閉鎖音で、両音の間に短母音〔-oo-〕を挟み、2音節目の〔ay〕は二重母音〔a-e〕の別の綴り。
・sir…無声音〔s〕は〔z〕と同系の摩擦音で、〔ir〕は〔ur〕の別の綴り。
・very…〔v〕は上歯で下唇を噛む〔f〕の有声音で、短母音〔-e-〕を添えたあと、巻舌音の〔r〕を続けて、最後はアクセントのない〔-i-〕系の弱母音になる。
・well…〔w〕は〔wh〕の有声音で、短母音〔-e-〕のあとを側音〔l〕で締める。
・thank…〔th〕〔-a-〕〔ng〕〔k〕の4音から成るが、語尾に子音が2つ続くため、後続の音が次の単語に連結されやすく、ここでは母音〔u-e〕つまり you をリンキングさせて than|k_you のようにCVC|CV(子音+母音+子音|子音+母音)で言う。
・run…語頭子音〔r〕と語尾子音〔n〕に挟まれた〔-u-〕は最も中立的な短母音。
・away…way は〔w〕と〔a-e〕の2音で、語頭の‘a’は弱母音のシュワーで添える。
この歌に出ない子音は、摩擦音〔sh〕系と破裂音〔ch〕系だが、類似音の〔s〕〔z〕で代用されている。〔qu〕は〔wh〕と共通するし、〔y〕は you の中に似た音がある。
歌詞の2番で thumbkin が pointer(人差指)に替わるので、母音〔oy〕が出てきて、3番の tall man(中指)には長母音〔aw〕がある。この歌には弱母音もあるし、where と here では〔-e-〕系と〔-i-〕系の二重母音の後半がr型母音の〔弱r〕になる。
登場しない母音は、米音特有の〔-o-〕だけだが、5番の baby(小指)を Bobby(バブさん)に替えれば、短い譜面ながら子音の閉鎖音〔p〕〔b〕も加わり、単音がほぼ勢揃いして「選択して網羅」されている。
要点は very well I thank you の1節で、〔v〕〔r〕〔w〕〔l〕〔th〕〔ng〕〔k〕の7つの子音の並びでは、口と舌を素早く移動させるトレーニングになる。正しい発音で歌えば、その技術が次のステップに結び付く。
(Bob Godin)
2015.6.9(火)
2015/06/01
語尾の‘-ten’と‘-sten’でサイレント字が生じる音則
【新・英語屋通信】(21)
ホームページにアップロードした音声を校正担当者が「often(しばしば)がアーフンではなく、アーフトゥンと発音していますが、ぼくたちは学校で‘t’がサイレントされると教わりました。調べてみると、最近は‘t’も発音するケースが多いようだから、このままでいいんでしょうね」と報告してきました。
語尾を‘-tn’と綴る英単語はありません。しかし、発音が〔tn〕と子音続きになる単語は少なからずあって、語尾に見られる‘-ten’や‘-ton’のように、子音の間に母音字を挟んでいます。そして、この〔tn〕は母音がなくても1音節をなしています。
語尾の‘-ten’には、lighten(明るくする)などの動詞がいくつか見られます。また、‘-tten’と綴る語なら、written(書いた)などの動詞の過去分詞形が多数派で、名詞なら kitten(子猫)などがあります。語尾を‘-tton’と綴る語形も、cotton(木綿)などの数個の名詞は〔tn〕と発音します。
ただし、1音節語にはアクセントがあるので、母音字がサイレントされず、ten(10)では〔-e-〕があり、ton(トン)の語中母音〔-u-〕(〔-o-〕と違うから例外)もそのままです。
なお、tan(日焼け)・tin(ブリキ)・stun(気絶させる)も1音節語だから、その母音はもちろん〔-a-〕〔-i-〕〔-u-〕です。この種の母音はサイレントしにくいサウンドだから、2音節以上の語にアクセントがなくても、弱母音のシュワーが残ります。
さて、often について言うと、語頭の‘of-’の部分は off(から離れて)と同じ発音の〔aw〕〔f〕です。〔t〕と〔n〕は舌先が同じ位置に来るので、素早く言うと、前にある音が消えやすくなり、soften(柔らかくする)も同じく、ゆっくり発音すると〔t〕が表面に出てきます。この音則は語頭の‘o’が長母音〔aw〕であることと関係があります。英語はアクセントの強弱でリズムが形成されるからです。
また、listen(聞く)・fasten(結ぶ)・hasten(急がせる)・glisten(きらきら光る)・chasten(懲らしめる)・christen(洗礼を施す)・moisten(湿らす)などの動詞の語尾部‘-sten’は、舌先を〔s〕から〔tn〕に移すさい、〔t〕が脱落して〔sn〕になります。子音が3つ続くと、発音しにくい場面があるのです。
(編集部)
2015.6.1(月)
ホームページにアップロードした音声を校正担当者が「often(しばしば)がアーフンではなく、アーフトゥンと発音していますが、ぼくたちは学校で‘t’がサイレントされると教わりました。調べてみると、最近は‘t’も発音するケースが多いようだから、このままでいいんでしょうね」と報告してきました。
語尾を‘-tn’と綴る英単語はありません。しかし、発音が〔tn〕と子音続きになる単語は少なからずあって、語尾に見られる‘-ten’や‘-ton’のように、子音の間に母音字を挟んでいます。そして、この〔tn〕は母音がなくても1音節をなしています。
語尾の‘-ten’には、lighten(明るくする)などの動詞がいくつか見られます。また、‘-tten’と綴る語なら、written(書いた)などの動詞の過去分詞形が多数派で、名詞なら kitten(子猫)などがあります。語尾を‘-tton’と綴る語形も、cotton(木綿)などの数個の名詞は〔tn〕と発音します。
ただし、1音節語にはアクセントがあるので、母音字がサイレントされず、ten(10)では〔-e-〕があり、ton(トン)の語中母音〔-u-〕(〔-o-〕と違うから例外)もそのままです。
なお、tan(日焼け)・tin(ブリキ)・stun(気絶させる)も1音節語だから、その母音はもちろん〔-a-〕〔-i-〕〔-u-〕です。この種の母音はサイレントしにくいサウンドだから、2音節以上の語にアクセントがなくても、弱母音のシュワーが残ります。
さて、often について言うと、語頭の‘of-’の部分は off(から離れて)と同じ発音の〔aw〕〔f〕です。〔t〕と〔n〕は舌先が同じ位置に来るので、素早く言うと、前にある音が消えやすくなり、soften(柔らかくする)も同じく、ゆっくり発音すると〔t〕が表面に出てきます。この音則は語頭の‘o’が長母音〔aw〕であることと関係があります。英語はアクセントの強弱でリズムが形成されるからです。
また、listen(聞く)・fasten(結ぶ)・hasten(急がせる)・glisten(きらきら光る)・chasten(懲らしめる)・christen(洗礼を施す)・moisten(湿らす)などの動詞の語尾部‘-sten’は、舌先を〔s〕から〔tn〕に移すさい、〔t〕が脱落して〔sn〕になります。子音が3つ続くと、発音しにくい場面があるのです。
(編集部)
2015.6.1(月)
2015/05/12
歌はイミテートできても、言葉は真似られない
【新・英語屋通信】(11)
沖縄のバーで英語の歌を上手に歌うフィリピン人の女性がいて、姿を見なかったら英語話者と勘違いするほど抜群に発音がいいのよ。
彼女はホステスだから、お客のテーブルに来て、酒を注いだりするが、英語を話すと、アキサミヨー、フィリピン語なまりのとんでもない発音で英語を話すわけよ。
歌は音声だけだからイミテートできるけど、会話は自分の頭から出てくる言葉だから、真似はできないね。
(Bob Godin)
2015.5.12(火)
沖縄のバーで英語の歌を上手に歌うフィリピン人の女性がいて、姿を見なかったら英語話者と勘違いするほど抜群に発音がいいのよ。
彼女はホステスだから、お客のテーブルに来て、酒を注いだりするが、英語を話すと、アキサミヨー、フィリピン語なまりのとんでもない発音で英語を話すわけよ。
歌は音声だけだからイミテートできるけど、会話は自分の頭から出てくる言葉だから、真似はできないね。
(Bob Godin)
2015.5.12(火)
英語の Children Dictionary に見る発音用記号
【新・英語屋通信】(10)
英語話者はほぼ3歳までに話し言葉を獲得します。文字が読めるようになる時期は、平均的に就学のちょっと前ころでしょう。そのとき、自分が言ったり聞いたりする音声と文字の綴りを一致させる手段として「フォニックス」が活用されています。ただし、フォニックスには特定された方式がありません。
日本人の子供が仮名の五十音表に示される文字を丸覚えするのと同様、フォニックスでもやはり、音声と一致する基準の語形は丸暗記です。大半の Children Dictionary において、フォニックスに準じる綴りの一覧表がすべての見開きページの角っこに示されている様子からして、その種の事情が汲み取れます。
どの辞書も25種前後の綴りの読み方を記号的に掲げていますが、辞書ごとにそれぞれ異なる数を紹介しています。ウェブスター(Webster)が最も多くて26種を掲げており、その内訳は母音が19種(弱母音のシュワー1種を含む)で、子音は7種だけです。
子音では、bath の〔th〕と区別するため、綴りが同じ feather の〔th〕を斜体で示しています。ring の〔ng〕、church の〔ch〕と shade の〔sh〕のほか、実際の綴りと異なる記号を用いて wheat の〔wh〕は〔hw〕とし、measure の〔s〕は〔zh〕で表わしています。マクミラン(Macmillan)やホートン(Houghton)では、2種の〔th〕の違いを指示するだけです。私どものPV法が feather で〔th"〕を使い、measure では〔sh"〕として、2種の有声音に濁点を付けて記号化した理由も区分が目的です。
母音については、ウェブスターが18種と弱母音を掲げた状況からして、母音重視の姿勢がよくわかります。英語では子音の発音はさほど問題ではなく、多様な母音の違いを判別することが大切であると一目瞭然で理解できます。
わが国のテレビ講座での発音学習では、母音を軽視して、子音の違いだけを大袈裟に騒ぎ立てていますが、その姿勢は噴飯物というしかありません。英語は母音に強中弱のアクセントを置いてリズムを形成する言語だから、弱母音のあり方を知ることがいかに大切であるかを肝に銘じてください。
(編集部)
2015.5.12(火)
英語話者はほぼ3歳までに話し言葉を獲得します。文字が読めるようになる時期は、平均的に就学のちょっと前ころでしょう。そのとき、自分が言ったり聞いたりする音声と文字の綴りを一致させる手段として「フォニックス」が活用されています。ただし、フォニックスには特定された方式がありません。
日本人の子供が仮名の五十音表に示される文字を丸覚えするのと同様、フォニックスでもやはり、音声と一致する基準の語形は丸暗記です。大半の Children Dictionary において、フォニックスに準じる綴りの一覧表がすべての見開きページの角っこに示されている様子からして、その種の事情が汲み取れます。
どの辞書も25種前後の綴りの読み方を記号的に掲げていますが、辞書ごとにそれぞれ異なる数を紹介しています。ウェブスター(Webster)が最も多くて26種を掲げており、その内訳は母音が19種(弱母音のシュワー1種を含む)で、子音は7種だけです。
子音では、bath の〔th〕と区別するため、綴りが同じ feather の〔th〕を斜体で示しています。ring の〔ng〕、church の〔ch〕と shade の〔sh〕のほか、実際の綴りと異なる記号を用いて wheat の〔wh〕は〔hw〕とし、measure の〔s〕は〔zh〕で表わしています。マクミラン(Macmillan)やホートン(Houghton)では、2種の〔th〕の違いを指示するだけです。私どものPV法が feather で〔th"〕を使い、measure では〔sh"〕として、2種の有声音に濁点を付けて記号化した理由も区分が目的です。
母音については、ウェブスターが18種と弱母音を掲げた状況からして、母音重視の姿勢がよくわかります。英語では子音の発音はさほど問題ではなく、多様な母音の違いを判別することが大切であると一目瞭然で理解できます。わが国のテレビ講座での発音学習では、母音を軽視して、子音の違いだけを大袈裟に騒ぎ立てていますが、その姿勢は噴飯物というしかありません。英語は母音に強中弱のアクセントを置いてリズムを形成する言語だから、弱母音のあり方を知ることがいかに大切であるかを肝に銘じてください。
(編集部)
2015.5.12(火)
2015/05/11
PV法は英語の発音を攻略する唯一無二の手段
【新・英語屋通信】(8)
英語の文字は英字アルファベット(26字)を利用した「表音文字」です。音声(45音)の数が文字数より多いため、不足を補う手段として、2字以上を組み合わせて、特定の音声を表わす「ダイグラフ」(digraph=連字)を作りました。
この表記法をいつ誰が作ったのかは別にして、英語の綴りのシステムは、じつに合理的にできています。ただし、「綴り=音声」の関係を知らないと、読むことは叶いません。じつのところ、シェークスピアによる演劇が盛んに上演されていた1600年前後の観客の大半は、文字の読めない人たちでした。
近代を迎えて、教育が一般人に普及されるにつれて、英単語の綴りを読む工夫の指導法が試行錯誤されました。現在はほぼ「フォニックス」(Phonics)だけに定着していると言えるでしょう。
英語話者は英語の発音を知るための「発音記号」を使わないし、そもそも記号の存在すら知らない人が大勢います。一方、日本人は英語音を耳から覚えたのではないから、目安として発音記号に頼らざるをえないのかもしれません。
しかし、記号が音を出すわけではありません。個々の発音用記号が表わす音を知るには、実際の音声を用いた教育法が必要になります。PV法(Phonovisual Method=音視法)は45種の音声を表わす「キーサウンド」の綴り(語形)を特定して、その発音を覚える手段だから、すでに英語を話せる英語話者にとってはフォニックス同様の手段ですが、音声学を下敷きしている点がPV法と特徴です。
PV法は英語音を聞いて育たなかった非英語話者にとっては、英語の綴りを正しく読むための唯一無二の方策です。英語の綴りを読むための発音記号は、そもそも英米で異なるし、英語話者には無用の長物ですが、非英語話者は発音記号の代わりに、PV法が定めたキーサウンドを発音の手掛かりとすればいいでしょう。
(Bob Godin)
2015.5.11(月)
英語の文字は英字アルファベット(26字)を利用した「表音文字」です。音声(45音)の数が文字数より多いため、不足を補う手段として、2字以上を組み合わせて、特定の音声を表わす「ダイグラフ」(digraph=連字)を作りました。
この表記法をいつ誰が作ったのかは別にして、英語の綴りのシステムは、じつに合理的にできています。ただし、「綴り=音声」の関係を知らないと、読むことは叶いません。じつのところ、シェークスピアによる演劇が盛んに上演されていた1600年前後の観客の大半は、文字の読めない人たちでした。
近代を迎えて、教育が一般人に普及されるにつれて、英単語の綴りを読む工夫の指導法が試行錯誤されました。現在はほぼ「フォニックス」(Phonics)だけに定着していると言えるでしょう。
英語話者は英語の発音を知るための「発音記号」を使わないし、そもそも記号の存在すら知らない人が大勢います。一方、日本人は英語音を耳から覚えたのではないから、目安として発音記号に頼らざるをえないのかもしれません。
しかし、記号が音を出すわけではありません。個々の発音用記号が表わす音を知るには、実際の音声を用いた教育法が必要になります。PV法(Phonovisual Method=音視法)は45種の音声を表わす「キーサウンド」の綴り(語形)を特定して、その発音を覚える手段だから、すでに英語を話せる英語話者にとってはフォニックス同様の手段ですが、音声学を下敷きしている点がPV法と特徴です。
PV法は英語音を聞いて育たなかった非英語話者にとっては、英語の綴りを正しく読むための唯一無二の方策です。英語の綴りを読むための発音記号は、そもそも英米で異なるし、英語話者には無用の長物ですが、非英語話者は発音記号の代わりに、PV法が定めたキーサウンドを発音の手掛かりとすればいいでしょう。
(Bob Godin)
2015.5.11(月)
2015/05/07
woman と言って「馬」に間違えられる
【新・英語屋通信】(6)
単語1つだけが相手に通じなくて困ることがある。ロサンゼルスに駐在していたとき、私がいくら woman(女性)を繰り返しても、英語話者にはまったく通じなかった。日系人から「馬」に聞こえるとからかわれたが、日本人には woman の発音はとても難しい。
では、どう発音すればいいのか、皆目わからなかった。H・M教授がUSC(南カリフォルニア大学)にいた関係上、そのもとで音声学を研究中の英語話者から週1回45分間ずつ米語音の発音レッスンを3カ月ほど受けたことがある。
夜間教室からの帰路に Hollywood を通って、山の上の見慣れた大きな看板を目にするたびに、この語を何度も口にして、なんとか〔w〕の「口と唇の使い方」を覚えるに至った。しかし、woman はうまく言えなかった。woman の正しい発音は、メリーランド州にあるプライマリイ・デイ・スクールの校長先生から教えてもらった。
問題点は語頭の〔w〕音ではなく、綴りの‘o’にアクセントを置いて〔-u-〕と発音して、アクセントの消えた‘man’の母音を「弱母音」(シュワー)に代えて、強弱のリズムを刻むのがコツだった。また、複数形の women の‘o’は例外的に〔-i-〕と発音して、‘men’の母音は〔-i-〕系の「弱母音」に変化すると指導された。
1音節語の man は〔m〕〔-a-〕〔n〕で、men は〔m〕〔-e-〕〔n〕だが、多音節の中でアクセントを失ったとき、短母音が弱化すると教わった。woman や women は study word(勉強する単語)だから、「丸暗記する単語ですよ」と校長先生は言い添えた。
〔w〕は「口を前方に突き出して、舌を平らに伸ばしたまま発声する子音で、接触する調音器官がないため「半母音」でもある。日本語の「憂い」(うい)や「上」(うえ)での母音は続けやすいが、同音が続く「うう」はやや言いにくい。woman や women の語頭は、母音が2つ続くみたいで、発音しにくい理由をなるほどと納得できた。
理屈を知った私は break through(突破する)できて、英語音の音質の違いを一気呵成に会得できた。その後の私は、やはり依然として間違えることが多いけれど、一度ブレークスルーしているせいか、すぐに正しい音則と取り替えることが可能になっている。
出版業は書籍を商って口に糊する職業だから、発行物を読者に買っていただくために、英語の習得がさも簡単であるかのような宣伝文句を並べ立てがちだが、正直に言うと、日本語と大きく違う英語音の習得は容易でない。
(S・F)
2015.5.7(木)
単語1つだけが相手に通じなくて困ることがある。ロサンゼルスに駐在していたとき、私がいくら woman(女性)を繰り返しても、英語話者にはまったく通じなかった。日系人から「馬」に聞こえるとからかわれたが、日本人には woman の発音はとても難しい。
では、どう発音すればいいのか、皆目わからなかった。H・M教授がUSC(南カリフォルニア大学)にいた関係上、そのもとで音声学を研究中の英語話者から週1回45分間ずつ米語音の発音レッスンを3カ月ほど受けたことがある。
夜間教室からの帰路に Hollywood を通って、山の上の見慣れた大きな看板を目にするたびに、この語を何度も口にして、なんとか〔w〕の「口と唇の使い方」を覚えるに至った。しかし、woman はうまく言えなかった。woman の正しい発音は、メリーランド州にあるプライマリイ・デイ・スクールの校長先生から教えてもらった。
問題点は語頭の〔w〕音ではなく、綴りの‘o’にアクセントを置いて〔-u-〕と発音して、アクセントの消えた‘man’の母音を「弱母音」(シュワー)に代えて、強弱のリズムを刻むのがコツだった。また、複数形の women の‘o’は例外的に〔-i-〕と発音して、‘men’の母音は〔-i-〕系の「弱母音」に変化すると指導された。
1音節語の man は〔m〕〔-a-〕〔n〕で、men は〔m〕〔-e-〕〔n〕だが、多音節の中でアクセントを失ったとき、短母音が弱化すると教わった。woman や women は study word(勉強する単語)だから、「丸暗記する単語ですよ」と校長先生は言い添えた。
〔w〕は「口を前方に突き出して、舌を平らに伸ばしたまま発声する子音で、接触する調音器官がないため「半母音」でもある。日本語の「憂い」(うい)や「上」(うえ)での母音は続けやすいが、同音が続く「うう」はやや言いにくい。woman や women の語頭は、母音が2つ続くみたいで、発音しにくい理由をなるほどと納得できた。
理屈を知った私は break through(突破する)できて、英語音の音質の違いを一気呵成に会得できた。その後の私は、やはり依然として間違えることが多いけれど、一度ブレークスルーしているせいか、すぐに正しい音則と取り替えることが可能になっている。
出版業は書籍を商って口に糊する職業だから、発行物を読者に買っていただくために、英語の習得がさも簡単であるかのような宣伝文句を並べ立てがちだが、正直に言うと、日本語と大きく違う英語音の習得は容易でない。
(S・F)
2015.5.7(木)
2015/05/01
restaurant と restroom の音節数の違い
【新・英語屋通信】(2)
ある日本人が“Where is the restaurant?”と尋ねたら、restroom を案内されたという話を聞いたが、英語話者の会話でこの両語を取り違えることはないと思うよ。
なぜなら restaurant(飲食店)は res|tau|rant という3音節語で、restroom(お手洗い)は rest|room の2音節語だからね。「フン、フン、フン」というリズムと「フン、フン」はずいぶん違うだろう。
日本語は restaurant を「レストラン」と5つの音に区切って、「レスト、ラン」のようなリズムで言うから、それを聞いた英語話者は脳の中で無意識に2音節の単語を探して restroom を引き出したんだろうと想像するね。
英語は音節(syllable)の区切り(syncopation)がとっても大切で、1音節の中に必ず1つのアクセント(accent)があるのが特徴の言語だからね。2音節以上になると、強勢同士の強弱関係が生じて、音楽的に豊かな響きを作るから、親しい人の間では「フン、フン、フン、フン?」と聞いて、「フン、フン、フン」(この返事は「イエス」ではないよね)などと答えるリズムだけの会話をよくするのよ。
(Bob Godin)
2015.5.1(金)
2015.5.1(金)
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