2016/01/21

77歳が「大学入試センター試験」に挑戦

【新・英語屋通信】(62)

 先週の土曜日に大学入試センター試験の英語の部があった。私はいま自分の英語力を測定するスケールを持たないので、物は試しと挑戦してみた。
 60年近く前の私の英語力は、大学になんとか入れた程度の実力で、65歳くらいまでの英語は使い物にならなかった。英語が必要な職業であるにもかかわらず、仕事が多忙すぎて、還暦を迎えるまで英語をほとんど勉強できなかった。最前線から離れたあと、ようやく本格的に英語の勉強を始める機会が得られた。
 毎年のように新聞に掲載された模試の紙面を取っておいて、そのうちやろうと思いはするものの、実際に大学を受験するわけではないから、モチベーションがいまひとつ高まらないうちに、面倒臭さが最優先して、忙しさに紛れて、とどのつまり新聞を処分する繰り返しで4半世紀が過ぎた。
 そもそも新聞の文字が小さすぎて、私の老眼鏡では間に合わない。拡大コピーしたが、平体のかかった8ポイント弱の小さな文字は、老人の視力には厳しい。でも、読めなくはないし、英語学習の本気モードになってからの歳月の経過からすると、今年で高3の年齢に達したので、一大決心をして、問題に立ち向かった。
 第1問は「発音」問題で、前半は「綴り」と「単音」の関係だから、PV法を知る者にはなんてことない。後半は「アクセント」の位置だから、答え合わせの必要もなかろう。
 第2問は「文法」と言うべきか、「語法」と言うべきか、耳と口がなんとなく覚えているので、なんとかこなせたが、いまいち「時制」の使い方には自信がなかった。
 第3問は「英文解釈」の問題と言うべきだろう。読んでみると、知らない単語が1語もなかったが、international communication(異文化交流)など、日本語と一致させられない語はあった。
 約半分をやり終えて、ちょっと疲れたので、ここでストップして、自己採点したら、なんと満点だった。びっくり!
 第4~6問までの残り半分は、いまはやめておこう。ちらっと見たら、手の出ない内容ではないが、やる気になったら挑んでみよう。でも、あまり乗り気になれそうにない。私は半年前の77歳の誕生日にタブレットを買ってもらって、それ以来、1日置きのペースで Between the Lions か TED のどれかを見ている。試験の英語は正しいのだろうが、本物の英語に比べると、なにかしら人工的な印象があって、異和感を覚えてしまう。
 じつを言うと、最初に問題を読んだとき、すぐには正確な意味を捕捉できなかった。ということは、耳で聞いたら、わからないということだ。つまり、書き言葉で満点を取れても、私の英語力は話し言葉の実戦では役に立たないシロモノだ。
 時間は計っていないが、丹念に読んだら、大雑把に中身を把握できた。制限時間には間に合っていなかったと思う。問題をやり終えるころになって、解答が番号記入方式だから、4択の解答部分を先に理解して、そのあと設問部を読んだほうがやりやすいことに気付いた。引っかけ問題がありはしないかと疑ったが、設問を百パーセント訳さなくても、常識的な答が用意されていて、この試験はなんじゃいと思った。
 要するに、私の英語力はデスクワークでお手伝いできる程度でしかなく、ビジネス英語のグラウンドに立てる選手になれないと再認識して、価値の低い高得点と評価した。センター試験には、現場英語の実力を計測できる目盛りが刻まれていない。 2016.1.21(木)
(S・F)