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2016/04/22

主語の人称代名詞と be動詞の連結音

【新・英語屋通信】(71)

 英語話者の98%以上は going to を gonna と発音している。ところが、映画やテレビで gonna と言っているのに、字幕の80%くらいが going to と表記している。統計を取ったわけではないが、この数字は当たらずと言えども遠からずと感じる。
 going to は「しに行くところ」という意味から転じて「するところ」「するつもり」「しそう」という幅広いニュアンスで使われるチャンク(chunk=語群)で、be動詞のあとに続けて be going to の形式で多用されている。英国の文法書では、この種のチャンクを verbs resembling auxiliary verbs(擬似助動詞)と定義している。
 英語の書き言葉は、単語ごとの「分かち書き」を原則としている。一方、話し言葉では、単語間の「連結」が生じるため、分離・結合が発生して、音の短縮・省略・変質が起こる。主語になる人称代名詞に be動詞の am・are・is が連結されるさいの<主語+be動詞>型では、母音が続くため 'm・'re・'s と短縮されるケースが多い。この結合関係はきわめて強固だから、gonna を添えたとき、その前で区切る音則が生じる。
  I'm   gonna(アイム、ガナ) 〔i-e〕〔m〕/〔g〕〔弱〕〔n〕〔弱〕
  you're gonna(ユア、ガナ)  〔y〕〔ur〕
  he's  gonna(ヒーズ、ガナ) 〔h〕〔ee〕〔z〕
 I'm では am の〔-a-〕が消失している。you're では〔u-e〕が子音の〔y〕に変身している。he's では is の〔-i-〕が省かれる。<主語+be動詞>の結び付きの固さはさておき、gonna の前で音声が一休みする理由は、この語句自体を際立たせるためでもあろう。
 ところが、疑問形になると、主語と be動詞の倒置が起こるので、am・are・is の本来の音声が維持されて、後ろに続く主語と連結するとき、子音の重なりが生じるため、下記のような音則を作る。
  am_I   gonna(アマイ、ガナ)  〔-a-〕/〔m〕〔i-e〕
  are_you  gonna(アユー、ガナ)  〔弱〕〔u-e〕
  is_he   gonna(イズィー、ガナ) 〔-i-〕/〔z〕〔ee〕
 am I では am が分離されて、語尾子音が I とリンキングされる。are は you にくっついて弱母音で軽く発音される。is he は is が分離されて、子音の重複を避けて〔h〕が黙字化され、語尾子音が he の母音とリンキングされる。肯定形と疑問形では、かくも発音が違ってくるので、書き文字の単語どおりに読むと、間違った発音になると知っていただきたい。
 また「wh 疑問文」を作るとき、5W1H(who・what・when・where・why・how)を文頭に置くルールがある。「文の要素」となる「wh 疑問詞」は目的語や副詞類となるので、単独に発音する場面が多く、後ろに続く<be動詞+主語>は、結び付きが強固な関係のまま維持される。下記の例文を実際の音声で聞いてみよう。
(1) Who are_you gonna see?
(2) What are_you gonna do?
(3) Where are_you gonna go?
(4) When are_you gonna know?
(5) Why are_you gonna go?
(6) How are_you gonna remember?
 通常の日常会話に比べると、 録音された音声(Melody & Bob Godin による)はゆっくり発音しているため、are you 以外は前後の語句とはっきり区切られている。実際の会話では、地域差のみならず、個人差も少なからずあって、are you が 're you や 'er ya など、いろいろに発音されている。変化のバリエーションが多いだけに、基準になる発音は必ずモノにしておかなければならない。
 be動詞が人称代名詞と結び付くときの発音現象の理屈に通じておけば、いずれはっきり聞き取れるようになる。また、この種の頻出するチャンクを自家薬籠中のものにしておけば、注意を払わなくても聞き取れる部分が多くなって、キーワードだけ把握できればいいわけだから、リスニングの聞き取りがとても楽になる。幼児期に正しい英語で身に付けておけば、発音や文型で苦労しなくていいけどが、成人後に学ぶ者は理屈を押さえておかないと絶対に前進できない。確信を持って申し上げる。
(Bob Godin)
2016.4.22(金)

2015/10/05

英作文は基本形を覚えて応用する

【新・英語屋通信】(49)

 “You're / looking at a woman / who was / publicly / silent / for a decade.”(あなた方の目の前にいる女性は、世間に沈黙し続けて10年を過ごしてきました)というフレーズは、クリントン米大統領と不倫関係に陥ったモニカ・ルインスキー嬢が今年3月にTEDの壇上で自己紹介した冒頭の1節である。彼女は約17年ぶりに公の場に姿を見せて、自分が傷ついた往時の胸中を聴衆に披露した。
 アメリカの次期大統領選にヒラリー・クリントン氏が出馬するので、口さがない連中がそれと結び付けるのは当然だが、彼女は“I'd like to / end / on a personal note.”(個人的事情を述べて終わりたい)と述べて、講演の締めくくりに time がその理由であると告げた。
 In the past nine months, / the question / I've been / asked / the most is / why. / Why / now? / Why / was I / sticking my head / above the parapet? / You can / read / between the lines / in those questions, / and / the answer / has nothing / to do / with politics.
 The top-note answer was, / and is, / because / it's / time ? /
  time / to stop tiptoeing / around my past,
  (爪先立ちで自分の過去をうろつくことをやめる時)
  time / to stop living / a life of opprobrium, / and
  (不面目な人生を引きずるのをやめる時)
  time / to take back my narrative.
  (自らの物語を取り戻す時)

 彼女は若くして“Time files.”(光陰矢のごとし)を体験したせいか、これから歩む自分の人生のキーワードを time と定めて決意を述べている。<time+to 不定詞>型のフレーズはとても応用しやすく、日常英語に数多く出てくる基本表現である。
 慣用句の“Time to go”(そろそろ行かなくては)は“It's time to go.”の it's を省いた省略文で、何かが「始まる時間ですよ」といった場面で使われる。to 不定詞の動詞 go を差し替えて“Time to run.”と言ってもほぼ同じ意味で、“Time to split.”という俗語的表現もある。
 また、move along(どんどん進む)・push off(立ち去る)・shove off(立ち去る)などの句動詞を to と組んで“TIme to move along.”と言うし、hit the road(出掛ける)のVO型(動詞+目的語)も to と組んで使われる。仕事を終えたとき、to に続けて‘call it a day’(仕事を切り上げる)のVOC型(動詞+目的語+補語)を使ったり、夜勤なら‘call it a night’と言う例も可能であろう。
 “Time to eat.”は「ご飯です」という呼び掛けで、<time+to 不定詞>型は便利な言い方として多用されている。モニカ嬢は‘time to stop’の形で使っているが、stop は行為を止める言葉だから、そのあとに続ける目的語が進行中の動作を示すため、動詞は現在分詞(-ing 型)で用いられる。
 “Stop complaining.”は「ぶつくさ言わないで」の意味だが、complain を gripe に代えても同じ内容になる。“Stop sulking.”や“Stop pouting.”なら「ごねるのはやめて」といったニュアンスになる。
 “Stop bothering me.”の stop の後ろはVO型で、「やめてよ」みたいなニュアンスだから、bother を pester に代えても同じ意味になる。“Stop speaking in circles.”や“Stop beating around the bush.”は「回りくどく言わないで」と言うときの慣用表現で、stop のあとはVA型(動詞+副詞類)になっている。また、非常に困っている人には“Stop carrying the weight of the world on your shoulders.”と言って stop のあとをVOA型で表現する決まり文句もある。
 英語のフレーズは無限と言えるほどあって、何百万でも何千万でも作文は可能だから、丸暗記はまったく無理で、基本形の<time + to 不定詞>型や<stop + -ing>型などを部品にして組み合わせて応用するといい。
 モニカ嬢の講話は、原稿を読みながらであったが、間の取り方が絶妙で聞き惚れた。プレゼンの仕方にプロの手が入っているかもしれないが、ジョークを言う場面では笑わせられたし、真剣に聞くべき部分は思わず真顔になった。TEDの中のこの1編は英語教材として宝の山と言えよう。
(S・F)
2015.10.5(月)

2015/08/14

<the+比較級?, the+比較級?>の構文を攻略できて

【新・英語屋通信】(40)

 英語を学びたい者にとって、いまほど好都合な社会状況はかつてなかった。なかでもTEDの公式サイトは最高学舎の1つで、陳列台に「生きた英語」を山積みしている。
 “The Price of Shame”(恥の代償)と題したモニカ・ルインスキー嬢による講演は、彼女が自ら蒙った屈辱と同種の現象が被害者の許可なしにインターネット上で華々しく展開され、この「humiliation(恥辱)の文化」は人々から思いやりの気持を奪っているという内容であった。公に晒された恥の値には、犠牲者の損傷を考慮することなく、これを餌食にする者の利益にのみ値札を付けているとモニカ嬢は指摘する。
 すなわち、他者への侵害が素材になり、これを手際よく、遠慮会釈なしに、加工して、包装し、利益を得るために売り捌いている。その市場は活況を呈し、弱者を公然と辱めることが商品化され、恥辱が産業になっていると彼女は糾弾する。
 モニカ嬢は“How is the money made? Clicks”(その財はどのように生み出されるのか?多数のクリックで)と問いかける。その直後に<the+比較級?, the+比較級?>の構文が連続して登場するが、この部分は受験生のこのうえない教材になる。

 The more shame, / the more clicks.
 The more clicks, / the more advertising dollars.
 The more we click / on this kind of gossip,
  the more numb / we get to the human lives behind it, and
  the more numb / we get,
  the more we click.(中略)
 The more we saturate our culture / with public shaming,
  the more accepted / it is,
  the more we will see behavior / like cyberbullying,(後略)

 (恥が多いと、クリックは増加する。クリックが増えるごとに、宣伝費の増収になる。この種のゴシップにクリックし続けると、人々の背後にある暮らしぶりに無頓着になり、ますます感覚が麻痺して、私たちはさらなるクリックを重ねる。われらが文化に公然と侮辱することが溢れるにつれて、しだいに受け入れられて、ネットいじめのごとき行為を数多く目にするようになる)

 <the more ?, the more ?.>という構文は、学校英語で「?すればするほど、ますます?する」と訳せばいいと私たちは教えられてきた。ところが、モニカ嬢はシンプルに「?が多いと、?も多い」と表現している。
 また、この構文は「倒置形」を潜在させているが、the more のすぐ後ろに強調語の numb や accepted を位置させて、倒置文にならざるをえない必然的な形を示している。the more の直後に単独で使われる shame と clicks と advertising dollars は、まさしくその強調部で、文体を簡明にするため省略文にしている。
 なお、2度にわたる‘the more numb’の使い方は、現代人が大切な問題に鈍感になっていくことへの警告を含んでいる。文体ともども、このまま高校の教科書に掲載できる道徳的な教材として推奨したい内容と言える。TEDの閲覧は無料だから、虜になるのもよし、ナマの英語をみっちり勉強していただきたい。
 ちなみに、慣用句の“The sooner, the better.”(早ければ早いほどいい)の場合、sooner と better 自体を強調語にして、この構文の究極な形に到達している。
 30歳代の2人の東大出身者にこのTEDを見せたら、「the more ?, the more ?. の対句はよく使われるんですね」「なるほど、こんなふうに<the+比較級>の構文を使うと、相手に伝わりやすくなるのか」とコメントしてくれた。さっそく論文にでも利用するつもりだろうか?
(S・F)
2015.8.14(金)

2015/08/07

「完了時制」の攻略はコメディーを利用して

【新・英語屋通信】(39)

 TEDの公式サイトにゼイ・フランク(Ze Frank)による“Are you human?”と題したコメディーがある。「これからあなた方が人間かどうかをテストするが、当てはまる点があったら挙手してください」という聞き手を参加させる手法のお笑い芸である。
 “Have you ever / eaten a booger / long past your childhood?”(あなたは遠い昔の子供時代に鼻くそを食べたことありますか?)という設問から始めると、会場からどっと笑いが巻き起こる。
 “Have you ever eaten a booger?”は「現在完了形」という文型で、この短い漫談に同じ時制を表わす文が24回も出てくる。なんと23回が疑問形で、そのうち主語が三人称になる“Has your phone ever ??”が1度、be 動詞文系の“Have you ever been ??”が1度となっている。
 英文法書には現在完了形が“Have you ever / eaten raw fish?”(あなたは生の魚を食べたことがありますか?)などの例文で「いままでにしたことがある」という“経験”を語る文として、ever は専用の副詞の1つで、完了形には“完了・結果・経験・継続”の4種があると説明している。
 そこで、当社が複数の英語話者に日本人が英語学習で頭を痛めるテーマになっている4種の完了文の違いを説明すると、その誰からも「もう1回、言って」と要請されて、同じことを何度言っても、「何よ、それ?」という返事しか戻ってこない。英語話者は「完了の状態は完了形」で表現しているだけのことで、まったく無意識に使っているという。
 “Have you??”は“Do you??”“Did you??”“Will you??”“Would you??”などと同じく、疑問形の冒頭が<助動詞+主語>型だから、have が完了形専用の助動詞であるとわかる。ただし、後続の要素の動詞に「過去分詞形」を使うという決まりがあるので、英語を習い始めた初期段階で eat・ate・eaten・eating(現在形・過去形・過去分詞形・現在分詞形)の4種を丸暗記しておかなければならない。
 要するに、“Have you ever??”の言い方に慣れてしまえば、聞き手は残りの内容にだけ聞き耳を立てればいいのである。むしろ be 動詞文系であるか、動詞文系であるかの形式が問題で、そのすべてのパターンを口癖にしておくことが大切であると Bob Godin 氏は指摘する。
 単なる be 動詞文と be 動詞文系の完了文との違いを how を用いた wh 疑問文で見ておこう。
  How / are you?
  How / have you been?
 be 動詞の‘are’は単に“状態”を示すだけだが、‘have been’では完了形用の助動詞‘have’を使ったために、be 動詞もそれに伴って、過去分詞形の‘been’になる例である。この2つの wh 疑問文のうち、上が be 動詞文系の一般的な挨拶の慣用句で、下は「久し振りに出会った」ときの挨拶で、「過去から現在までの時間の幅」を示すため、完了文が用いられるのである。
 実際の会話では“How've you been?”とか“How you been?”となって、have を 've に短縮させたり、取り除いたりするが、‘been’があることで完了の状態とわかるのである。現在完了形はつまり、英語に特有の「過去から現在に至る期間を示す」表現で、日常的に4?5%くらいの割合で出てくるので、身に付けておくに越したことはない。「完了形には1種類しかない」と心得ていただき、理屈抜きでパターンを口癖にしてしまえば、なんてことはない。
 このコメディーは5分間弱だから、丸暗記できない量ではない。ゼイ・フランクの物真似をすれば勉強になるけど、発音が正しくないと mimicry は難しい。
2015.8.7(金)

2015/07/10

チャンク学習は名詞チャンクから始める

【新・英語屋通信】(33)

 「チャンクという言葉をたまに英語関係の本で見掛けるけど、英語の文型とどう関係するのか?」という類の質問にまとめてお答えします。
 日本語・英語を問わず、どんな言語も必ず“構造”を有しています。言語学の巨人ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)の指摘によると、人の言葉は似たり寄ったりの構造で、相違点より類似点が多いとのことですが、当社は彼の主張に同意しています。
 しかしながら、言語は日常的に用いる“道具”だから、使い慣れていないと利用できません。英語と日本語の構造は、大局的に同一種と言えても、実用品としては大きく異なります。そのじつ、日本人にとって、英語には使い勝手の悪い面が目立ちます。
 大まかに言うと、英文は「主語・動詞・目的語・補語・副詞類」の5種の「文の要素」で成り立っています。学校で教わるS・V・O・C以外にA(advervial)を加えればいいだけで、古典的文法の考え方から大きく外れるものではありません。
 文の要素はさておき、意味を含む最小単位は「単語」ですが、実用ではいくつかの単語を並べた「句」で利用します。この使用単位の句を「チャンク」と称しています。
 日本語の「本」はさしたる使用上の制約を受けない「名詞」です。英語の book(本)は「加算名詞」(数えられる名詞)だから、my book(私の本)・a book(ある種の本)・this book(この本)となり、複数は books(何冊もの本)・three books(3冊の本)・some books(いくつかの本)のように、限定詞(決定詞=determiner)を伴わせて「名詞句」で用います。また、some book なら「ある本」で、the book は「特定の本」だから「電話帳」にも使い、the Book と書けば「聖書」です。さらに、a book of tickets(回数券の1綴り)などの「名詞句」に展開していきます。
 数多くの合成語を作る面では、book は本と似ていても、動詞では「予約する」の意味になり、派生語の booking(予約)や bookable(予約できる)が生じるなどして、発展しやすいけれど、概念的な言葉ゆえに、使い方は簡単ではありません。
 使用上の特別な決まりがチャンクごとにあり、名詞句はつまり、文中でS・O・Cを務めたり、Aの一部に使われる「名詞チャンク」です。名詞チャンクは形が多様だから、慣れないと正しく使えません。話し言葉は会話の道具だから、脳内に完全定着させないと口から出てこないので、チャンク学習はまず名詞チャンクから始めます。
(編集部)
2015.7.10(金)

2015/06/29

合成疑問詞で初期英語の基礎を確立

【新・英語屋通信】(30)

 technical terms(専門用語)はふつう関係者だけしか知らない。たとえば、海外の錦鯉愛好家やバイヤーなら、その品種名はもとより、業界用語の「サシ」に至るまで、日本語をそのまま翻訳せずに使っている。錦鯉は体表が鱗に被われており、サシとは「前方の鱗の下に差し込んだ部分の色が上から透けて見える様子」を指し示す専門語だが、名詞は深い内容を1語だけでほぼ伝えられる。
 当社は錦鯉に限定した月刊誌『鱗光』を50年間以上も刊行しているので、関係者なら正確な意味でサシを使えるし、専用語は特定的に使用される言葉だから、限定された範囲内の英単語や表現を知っておけば、英語によるコミュニケーションが可能になる。しかし、海外の錦鯉品評会での入賞魚の撮影で出張するカメラマンは、英語で数や色などの語を聞き取れることが前提で、そのほか専用の文型をいくつか覚えておく必要がある。
 「この鯉は何歳ですか?」「この鯉は何センチですか?」などと、入賞鯉のデータに関する質問をして、正しく聞き取って記録しなければならないからだ。尋ねる言葉は疑問形になるので、疑問詞の5W1H(who・what・when・where・why・how)を使う例が多いが、とりわけ what と how から作る「合成疑問詞」が活躍する場面は多い。
 “How old / are you?”というフレーズは遅くとも中学校で教わるが、この文型を応用して“How old / is this koi?”とでも言えばいい。特定された目の前の鯉を対象にする場面なら、省略文の“How old?”だけでも通じる。この how old が合成疑問詞である。
 また、体長を問うとき“What size?”と聞くと、5cm刻みか10cm刻みの大雑把なサイズで答えられることが多いので、正確な寸法を知りたければ“How many centimeters?”と聞けば、具体的な数字が返ってくる。what size も合成疑問詞だが、何事も臨機応変が肝心だ。いずれにしても<how+形容詞(+名詞)>型や<what+名詞>型の合成疑問詞の作り方を知っておけば、多くのケースで事が足りる。
 知識と経験を積み重ねた特定分野の「専門英語」は、その範疇の言葉を知っておけば対応できるが、何が出てくるかわからない“雑談”は、話題があちこちに飛び火するので、日常語から常識的な慣用句までの「総合英語」を身に付けておかないと会話の輪には入れない。ビジネス上の交渉事や大学の講義やコメディーは、高水準の「文化英語」だから難しいが、まずは合成疑問詞だけの「用足し英語」で第一歩を踏み出そう。
(編集部)
2015.6.29(月)


2015/06/05

チャンク法が身に付くと「分かると忘れる」

【新・英語屋通信】(23)

 アメリカのTV番組には“I shoulda been here this morning.”といった「完了助動詞文」のセリフがよく出てきます。この文の原点は<S+beV>(主語+be 動詞)型の構造を持つ「be 動詞文」で、過去や完了または話し手の気分を告げるときなど、次のような重層的な発展を見せます。
  I'm / here / for the party.(私はパーティのためにここにいる)
  I was / here / 'til ten.(私は10時までここにいた)
  I have been / here / all day long.(私は1日中ずっとここにいた)
  I should be / there / now.(私はいまそこにいるべきだ)
  I should have been / here / this morning.(私は今朝ここにいるべきだった)
 be 動詞文は状態を表わしますが、<have+been>型の「完了文」はその延長線上にあって、I have been は I've been のように短縮されます。そして、話し手の気持を添える場面は「助動詞文」にして、その完了形は should have の部分を短縮させて shouda と言います。
 チャンク法とは、フレーズをいくつかの単位に分解して、口に出してチャンク(塊)ごとを個別に音則どおり練習し、最終的に言いたい内容の文を組み立てる無意識脳を作る手法です。上記の例では、3つに区切った冒頭の固定した形を脳内に叩き込むように練習しておけば、言葉の塊が潜在意識下に住みつく状態になって、そのうち考えずに口からフレーズが出てきます。真ん中の here と there の部分は状況しだいで変わってくるし、最後の時間や目的も変化する要素で、この両方にメッセージの内容が含まれています。
 英語は論理的な構造を持つ言語だから、理屈がわかれば、積み木遊びのように、文を無限に発展させられます。最初は「分ければ分かる」という考え方で練習し、最後に「分かれば忘れる」ことを目指して言葉を身に付けていきます。
 母語の話し言葉は意図せず「身に付く」もので、書き言葉は「身に付ける」学習対象です。そのじつ、文字がなかった時代は語り部が口承で物語を伝えてきたし、流暢に話せても、読み書きできない者がついこの間まで世界中に溢れていました。幼児期に使わなかった外国語は、書き言葉なみに学んで身に付けるしかありません。
(Bob Godin 監修)
2015.6.5(金)

2015/05/18

「あっと言う間に」と“Ants in pants”

【新・英語屋通信】(12)

 日本語を少し使えるようになって以来、私は10年間以上も「あっと言う間に」という表現を聞き取れなかった。意味がわからないので、辞書を引くんだが、見出しに「あっというまに」の項目がないし、言葉を正確に把握していなかったため、それらしき表現が出てきたとき、大勢に影響はないだろうと無視して聞き流していた。
 私がサウジアラビアで働いた数年間、同行した妻がのんびり屋の気質だったからか、滞在中にこの表現を一度も聞いたことがなかった。息子も無口な性格で、そもそもヨーロッパに留学させていたし、彼からもこの文言を聞いたことがない。
 沖縄に舞い戻ったある日、この句をふと本の中で見つけた。そこで、辞書で「あっ」を引くと、「驚いたり、感心したり、思わず何かに気付いて出す声」と解説されていて、派生句の「と言う間」を見つけた。おまけに「と言わせる」も出ていた。
 それからというもの、その日のうちに「あっと言う間に」が3回も4回も耳に響いて、自分でもすぐに使えるようになった。日本語のネイティブ・スピーカーは私のような経験はしないだろう。母語では bootstrap(コンピューターが稼働できるまでの一連の処理プログラム)が知らない間に身に付くからである。
 言葉は早いうちに覚えてしまうほうが何かと便利だ。知っている語句なら、何度も使ううちに、自分の所有物にできるからだ。日本語は発音が簡単だけど、英語は複数の単語が並ぶ文になると、音則がいっきに難しくなるから、基礎を学ばないと子供が話す言葉も理解できないと思う。
 “Ants in pants”は蟻がパンツの中に入った状況だから、「むずむず・もぞもぞする落ち着かない気分」の表現で、ants と in がリンキングして「アンチン」のように言うが、このフレーズを初めて聞く日本人は、たいてい「はっ?」という顔をする。英語の話し言葉は草書体のように言わないと、英語話者には通じにくい。
(Bob Godin)
2015.5.18(月)

2015/05/02

<No+名詞>型の省略文を使いこなす

【新・英語屋通信】(4)

“No onions.”と“Hold the onions.”
 当社では海外出張に出掛ける担当者に向けて、渡航直前に英作文の俄講習をする場面があります。そのおり、受講者にまず自分の言いたい表現を10個ほど提出させて、それをテーマに基本文型とその応用を説明しています。内容は業務より生活に関する everyday expressions(日常表現)が多くなりがちです。

 「タマネギを抜いていただけますか?」

 このフレーズの最も簡明な英文は“No onions.”(タマネギなし)ですが、丁寧に言いたければ、前後どちらかに please を付ければいいと伝えています。<No+名詞>型は代表的な省エネ文ですが、省略前の英文の構造には触れないほうがいいでしょう。
 ちなみに、英語話者は“Hold the onions.”をよく使います。hold の基本義は「保持する」ことで、「保つ」→「維持する」→「状態が続く」と発展して、“Hold it!”と言うと、写真を写すときなら「動かないで!」となり、電話なら「切らないで!」となることから、「待って!」→「やめて!」という意味で使います。“Hold the onions.”は、ゆえに「タマネギを入れないで」という表現になるのです。

<No+名詞>型の日常フレーズ
 日本人が最近よく使う“No problem.”は「問題なし」の意味だから、「いいとも」とか「どういたしまして」という用法に転じています。“No trouble.”は trouble(困難、迷惑、心配事)のない状態だから、“No problem.”と同じ状況で使うことがあります。
 “No sweat.”は「汗いらず」だから、やはり「問題ないね」→「簡単だよ」→「平ちゃらだ」といった感じで使います。
 “No way.”は「方法なし」だから、万事休す的に“No way!”と叫ぶと、「無理だ!」→「駄目だ!」さらに「とんでもない!」となります。“No chance.”も似たような表現ですが、将来に希望がない局面のフレーズです。
 “No kidding!”の kid は、動詞の「冗談を言う」とか「からかう」から出ているので、「冗談じゃない」→「嘘じゃない」となります。“No kidding?”と尻上がりに言うと「嘘でしょう?」→「まさか!」というニュアンスになります。

<No+名詞>型の場面は広がる
 “No sirree!”は「とんでもない!」という拒絶表現です。“No, sir.”のもじりと見なして、フレンドリイな場面で使う例を数名の英語話者から教わりました。sirree が載っていない辞書は多いけれど、英語話者ならこの表現をたいてい知っています。音の並びは〔s〕〔弱〕〔r〕〔ee〕で、アクセントを第2音節の長母音に置いて発音しないと英語話者には通じません。“Yes sirree!”は“Yes, sir.”のもじりで、「いいとも」といった感じで使われます。
 “No tresspassing.”は「通行止め」で、“No admittance.”なら「入場禁止」です。“No pain, no gain.”は「苦は楽の種」と訳されていますが、encouraging someone to try someone(誰かが何かにトライするときに力づける)言葉で、「虎穴に入らずんば虎児を得ず」(If one doesn't enter the tiger's den, one can't get cubs.)といった状況で使う人もいます。
 “No ketchup.”や“No mayo.”は、軽食堂で「ケチャップはなしで」とか「マヨネーズは付けないで」という要求ですから、“No onions.”と同様のニュアンスで使います。<No+名詞>型のフレーズは、ほかにいくらでもあるし、新しい表現がいくらでも作れます。
(K)
2015.5.2(土)