2015/10/23

英語は45の単音を正しく発音できなければ何も始まらない

【新・英語屋通信】(53)

 話し言葉ができれば、書き言葉は少しの勉強ですぐできるようになります。ところが、書き言葉にいくら習熟しても、話し言葉は容易に会得できません。話し言葉は「聞いて話す練習」を繰り返すことでしか身に付きません。
 「聞き流すだけで英語を話せるようになる」と宣伝されていますが、そんな奇跡は99パーセント起こりえません。聞き流すだけで英語が身に付くのなら、いまの時代 YouTube の中に掃いて捨てるほど好材料が転がっています。
 世界のどの言語音であれ、複数の子音(consonants)と母音(vowels)から成り立っています。英語には45種(子音27・母音18)の「単音」があり、その中には日本語にないサウンドがいくつかありますが、そのすべてを正しく発音できないと英単語は言えません。英語の学習者はまず、子音・母音の個々のサウンド習得を最優先すべきなのです。
 英単語は dog や get などの<子音+母音+子音>(CVC)型で並ぶ1音節語が基本形です。日本語は五十音のほぼ全部が母音止めのCV型ですが、子音止めの英単語は安定性が悪く、アクセントを置いた母音のあとでリズムが途切れて、取り残された子音が次の単語の語頭音にくっつきやすく、いわゆるリンキング(連結)の現象を生じます。
 たとえば、CVC|CVC|CVC|と並ぶ3音節語なら、CV|CCV|CCVCという音則を作り、そのうえ隣接する2つの子音間に強弱関係が生じて、片方がしばしば省略されたりします。したがって、英語の話し言葉は、文字と発音の等式関係が崩れるので、音則のあり方を知らないと、英語話者が口にする音声をはっきり聞き取れません。
 「音声」を完全に聞き取れないと、「単語」の意味もわからず、いわんや「文型」の把握に至らず、話されているフレーズの内容の理解に及びません。基礎なくして、ただ漫然と同じことを闇雲に聞くだけでは学習時間が無駄でしょう。
 発声練習では、唇・舌・歯などを使うさいの口の動きを習得する必要がありますが、その学習法として、アメリカの The Primary Day School(保育園と小学校低学年)で実施されている The Phonovisual Method(PV法 =音視法)を私どもは推奨します。
 子供たちは45音のすべてを3日間〜1週間くらいで一応マスターしますが、そのあと単語を言うとき口が滑らかに動いて、文をすらすら言えるようになるまで、徹底的に基礎レッスンを繰り返す必要があります。
(編集部)
2015.10.23(金)