2015/10/14

英語を教えられる人は、英語を使えて、教え方も知っている

【新・英語屋通信】(50)

 「学校で教わる英語は簡単すぎる」と世羅洋子氏(YES=山口イングリッシュスクール)から指導を受けている生徒たちは口を揃える。世羅氏から教われば、学校英語は勉強しなくても試験に間に合うし、余分な時間を他課目の学習に当てられるため、受験は大きなテーマにならず、だいたい希望する高校に進学できている。
 YESはいま、幼稚園・保育園は3カ所、企業も3カ所、10人弱の小・中学生の英会話教室を4クラス持ち、依頼があれば個人レッスンもこなす。世羅氏は「来る者は拒まず」主義で、生徒が口コミで集まってくるので、多忙になりがちだが、お雇い英語話者と2人だけですべての授業を消化している。
 世羅氏が教える学課は、英語だけではない。英文法と比較するため、国文法を教えたり、学習者の要望に応じて、数学や物理まで指導している。英語が入りにくくなった社会人には、自分で学べる学習法を伝えて、自習を多くすることを促している。英語を身に付けたいのは、あくまでも学習者本人だから、自ら努力を続ける必要がある。
 世羅氏の優先的な目標は、学習者が「英語の音声を完璧に会得する」ことで、幼少期にナマの英語話者が使う英語音を聞いて身に付けておけば、おのずと英語を使えるようになるという過去の実例に基づいて、とくに幼児教育を重視している。
 ところが、せっかく小学校時代に獲得した英語音をそっちのけにして、中学生になると大半の父兄がわが子を学習塾に通わせるようになる。その結果、成人になって、TOEICの得点が足りないからとヘルプを求めてくるが、率直に言って、英文を目で追えなくなっているし、音声はまるっきり聞き取れず、いうなれば英語獲得の臨界期までを無為に過ごしているので、空白の期間を取り戻すためのオタスケマンを務めるしかない。
 じつは世羅氏が英語話者を必ず雇用する理由の1つは、英会話は英語を使う外国人に教わるべきという巷の声を無視できないからだが、外国人講師が交替するたびに、世羅氏は彼らに英語の教え方を吹き込むために多大なエネルギーを浪費している。
 近年、学校の講義を英語で学んだアジア出身の英語話者が多くいて、彼らは英語で考えることができるけれど、英語話者なら絶対に間違えない日常的なエラーを頻繁にする。いうなれば、英語を話せるからと言って、教える方法論を持っているわけではない。英語の指導は、英語を正しく使えて、有効な教え方を知る者でなければならない。
(編集部)
2015.10.14(水)