2015/09/07

辞書の例文を学んで単語力を増強!

【新・英語屋通信】(43)

 アメリカで“The sink is backed up.”というフレーズに出会ったことがあります。観光ホテルの調理用の sink(流し)が詰まった場面でした。
 back up は少年時代から野球用語の「バックアップ」が頭の中にすり込まれていて、またフロッピィディスクなどを「コピーする」ときにカタカナ語で使うので、「補完する」「後援する」みたいな意味と思い込んでいましたが、そのシーンでは何のことだかわかりませんでした。
 このフレーズの文型は“状態”を示す<be 動詞文>なのに、カタカナ語の「バックアップ」をずっと“動作”を表わす状況で使ってきたせいで矛盾を感じたのです。まあ、知らない言葉に出会くわしたら、ひとまず辞書で実例を搜すのがいちばんです。
 すると“The stalled car backed up traffic for miles.”(立ち往生した車が数マイルにわたって交通を渋滞させた)という例文を見つけました。その後、友人の英語話者に確認したら“The sink is clogged.”と言う人もいると教えてくれました。
 clog a drain(排水溝を詰まらせる)という clog の動詞の使用例を見たことがありましたが、名詞としての用例に“Clogs to clogs is only three generations.”という格言を見つけました。clog は「木靴」とか「コルク」の意味だから、「木靴から木靴へは、たったの3代」つまり「3代で貧乏に元戻り」するという戒めの教えです。
 非英語話者は言語の獲得が容易な幼少期を英語の中で暮らしていないのだから、単語を覚えたいなら、ちょっと面倒と思うかもしれませんが、丹念に辞書を引く必要があります。単語の調べ方にはコツがありますが、この稿では2種類を紹介しました。
<コツ1>動詞・句動詞は、意味が敷衍されて多様化しているので、すべて読むこと。
<コツ2>動詞化される以前の名詞の意味を調べること。
 そして、例文を1つか2つノートにでも書いておきます。そのうち忘れるでしょうが、頭の隅に残っていて、次にお目にかかれば、自分のものになるでしょう。
(S・F)
2015.9.7