2015/07/10

チャンク学習は名詞チャンクから始める

【新・英語屋通信】(33)

 「チャンクという言葉をたまに英語関係の本で見掛けるけど、英語の文型とどう関係するのか?」という類の質問にまとめてお答えします。
 日本語・英語を問わず、どんな言語も必ず“構造”を有しています。言語学の巨人ノーム・チョムスキー(Noam Chomsky)の指摘によると、人の言葉は似たり寄ったりの構造で、相違点より類似点が多いとのことですが、当社は彼の主張に同意しています。
 しかしながら、言語は日常的に用いる“道具”だから、使い慣れていないと利用できません。英語と日本語の構造は、大局的に同一種と言えても、実用品としては大きく異なります。そのじつ、日本人にとって、英語には使い勝手の悪い面が目立ちます。
 大まかに言うと、英文は「主語・動詞・目的語・補語・副詞類」の5種の「文の要素」で成り立っています。学校で教わるS・V・O・C以外にA(advervial)を加えればいいだけで、古典的文法の考え方から大きく外れるものではありません。
 文の要素はさておき、意味を含む最小単位は「単語」ですが、実用ではいくつかの単語を並べた「句」で利用します。この使用単位の句を「チャンク」と称しています。
 日本語の「本」はさしたる使用上の制約を受けない「名詞」です。英語の book(本)は「加算名詞」(数えられる名詞)だから、my book(私の本)・a book(ある種の本)・this book(この本)となり、複数は books(何冊もの本)・three books(3冊の本)・some books(いくつかの本)のように、限定詞(決定詞=determiner)を伴わせて「名詞句」で用います。また、some book なら「ある本」で、the book は「特定の本」だから「電話帳」にも使い、the Book と書けば「聖書」です。さらに、a book of tickets(回数券の1綴り)などの「名詞句」に展開していきます。
 数多くの合成語を作る面では、book は本と似ていても、動詞では「予約する」の意味になり、派生語の booking(予約)や bookable(予約できる)が生じるなどして、発展しやすいけれど、概念的な言葉ゆえに、使い方は簡単ではありません。
 使用上の特別な決まりがチャンクごとにあり、名詞句はつまり、文中でS・O・Cを務めたり、Aの一部に使われる「名詞チャンク」です。名詞チャンクは形が多様だから、慣れないと正しく使えません。話し言葉は会話の道具だから、脳内に完全定着させないと口から出てこないので、チャンク学習はまず名詞チャンクから始めます。
(編集部)
2015.7.10(金)