2015/06/01

語尾の‘-ten’と‘-sten’でサイレント字が生じる音則

【新・英語屋通信】(21)

 ホームページにアップロードした音声を校正担当者が「often(しばしば)がアーフンではなく、アーフトゥンと発音していますが、ぼくたちは学校で‘t’がサイレントされると教わりました。調べてみると、最近は‘t’も発音するケースが多いようだから、このままでいいんでしょうね」と報告してきました。
 語尾を‘-tn’と綴る英単語はありません。しかし、発音が〔tn〕と子音続きになる単語は少なからずあって、語尾に見られる‘-ten’や‘-ton’のように、子音の間に母音字を挟んでいます。そして、この〔tn〕は母音がなくても1音節をなしています。
 語尾の‘-ten’には、lighten(明るくする)などの動詞がいくつか見られます。また、‘-tten’と綴る語なら、written(書いた)などの動詞の過去分詞形が多数派で、名詞なら kitten(子猫)などがあります。語尾を‘-tton’と綴る語形も、cotton(木綿)などの数個の名詞は〔tn〕と発音します。
 ただし、1音節語にはアクセントがあるので、母音字がサイレントされず、ten(10)では〔-e-〕があり、ton(トン)の語中母音〔-u-〕(〔-o-〕と違うから例外)もそのままです。
 なお、tan(日焼け)・tin(ブリキ)・stun(気絶させる)も1音節語だから、その母音はもちろん〔-a-〕〔-i-〕〔-u-〕です。この種の母音はサイレントしにくいサウンドだから、2音節以上の語にアクセントがなくても、弱母音のシュワーが残ります。
 さて、often について言うと、語頭の‘of-’の部分は off(から離れて)と同じ発音の〔aw〕〔f〕です。〔t〕と〔n〕は舌先が同じ位置に来るので、素早く言うと、前にある音が消えやすくなり、soften(柔らかくする)も同じく、ゆっくり発音すると〔t〕が表面に出てきます。この音則は語頭の‘o’が長母音〔aw〕であることと関係があります。英語はアクセントの強弱でリズムが形成されるからです。
 また、listen(聞く)・fasten(結ぶ)・hasten(急がせる)・glisten(きらきら光る)・chasten(懲らしめる)・christen(洗礼を施す)・moisten(湿らす)などの動詞の語尾部‘-sten’は、舌先を〔s〕から〔tn〕に移すさい、〔t〕が脱落して〔sn〕になります。子音が3つ続くと、発音しにくい場面があるのです。
(編集部)
2015.6.1(月)