2015/05/11

PV法は英語の発音を攻略する唯一無二の手段

【新・英語屋通信】(8)

 英語の文字は英字アルファベット(26字)を利用した「表音文字」です。音声(45音)の数が文字数より多いため、不足を補う手段として、2字以上を組み合わせて、特定の音声を表わす「ダイグラフ」(digraph=連字)を作りました。
 この表記法をいつ誰が作ったのかは別にして、英語の綴りのシステムは、じつに合理的にできています。ただし、「綴り=音声」の関係を知らないと、読むことは叶いません。じつのところ、シェークスピアによる演劇が盛んに上演されていた1600年前後の観客の大半は、文字の読めない人たちでした。
 近代を迎えて、教育が一般人に普及されるにつれて、英単語の綴りを読む工夫の指導法が試行錯誤されました。現在はほぼ「フォニックス」(Phonics)だけに定着していると言えるでしょう。
 英語話者は英語の発音を知るための「発音記号」を使わないし、そもそも記号の存在すら知らない人が大勢います。一方、日本人は英語音を耳から覚えたのではないから、目安として発音記号に頼らざるをえないのかもしれません。
 しかし、記号が音を出すわけではありません。個々の発音用記号が表わす音を知るには、実際の音声を用いた教育法が必要になります。PV法(Phonovisual Method=音視法)は45種の音声を表わす「キーサウンド」の綴り(語形)を特定して、その発音を覚える手段だから、すでに英語を話せる英語話者にとってはフォニックス同様の手段ですが、音声学を下敷きしている点がPV法と特徴です。
 PV法は英語音を聞いて育たなかった非英語話者にとっては、英語の綴りを正しく読むための唯一無二の方策です。英語の綴りを読むための発音記号は、そもそも英米で異なるし、英語話者には無用の長物ですが、非英語話者は発音記号の代わりに、PV法が定めたキーサウンドを発音の手掛かりとすればいいでしょう。
(Bob Godin)
2015.5.11(月)